ルームシェア③家探し

 東京の街を知らない私には、家の希望はなかった。
強いて挙げるなら、大きめのリビングがあること。
それさえあれば、友人を募ってのホームパーティが
できるではないか! 後の間取りとか場所は二人が
いいようにどうぞ!という感じだった。



 ネットで探したいくつかの物件を回ってみるものの
これだ!という物件が見つからない。こっちを取れば
あっちが立たずという具合に家賃、間取り、場所の三点
はぐらぐらと二人の中で揺れ続けた。


 その間、僕は上の家に居候を決め込み、久しぶりに
食べるコンビニ食に舌鼓を打ち、プラズマテレビで暴れま
わる三国志の英雄達と夢の国に旅立ってた。廃人でし
た。



 新宿にいい物件がある!そんな情報を得て三人で
向かった。駅からも近く、家賃もそんなに高くない。
間取りは十畳近いリビングに襖で仕切られた二部屋。
南の窓付近にすりガラスの引き戸の一部屋。私の希望
のリビングが広いはクリアしている。


 もう居候生活に嫌気が差していた私はこの物件で決
めてしまおうと二人をせっついた。上は了承した。
おそらく新宿で一緒に飲んだ女を連れ込むことを想像
していたに違いない。

 「俺の家。ここから近いけど、どう? 」みたいな具合に。


 しかし、松が乗り気ではない。独立部屋の一番いい部屋
を私達は明け渡すと言っているにも関わらず、すりガラスの
引き戸を何度か引いたり押したりしてぼそりと一言。


 「俺が裸やったらモザイクがかかったようなシルエット
見えるよね? 微妙に見えるなんてはっきり見えるより
も想像力かきたてられるそうで、嫌だ」


 あぁ。この家も駄目だった。



 そして幾度の失敗を経て何度目かの家訪問。今度は
いいですよ!という某不動産会社のセールストーク。

 「ここの売りは、目の前の駅、目の前の商店街。そして
なんと、まぁ、以前エグザイルのなにがしが住んでいた
んです! あのKABAちゃんも住んでいたとかうんぬん」


 大学時代の友達の早川KABA介を思い出して、同じ
サークルだった私と松は決断。上も異論はないようだ。
間取りもリビング8畳を基点に三方向に別れる独立部屋。
部屋こっそり何かしていても気づかれないぜ。へへん!


 三つの部屋のどこに入るかは頭を悩ますところだ。畳の六畳、
小ベランダ付き五畳、四畳とグレードが下がり、最後の四畳にはク
ーラーがない。早めの決着を付けたい私は迷わず泥水を飲む
覚悟で、四畳部屋を選んだ。


 あとは勝手にじゃんけんでもいいから決めてくれ!と二人は公
平に運勝負で大きい部屋を取り合うことになった。



 公平な勝負――それはパチンコで決着を付けることになった。
千円で当たりを出したほうが勝ち。この勝負はあっさり松が勝ち。
一番間取りのいい六畳部屋をゲットした。しょうがないとうなだれ
ていた上は引越しまでの間ずっと私に愚痴っていた。



 上よ!私だって愚痴りたいさ。だって部屋にクーラーがないん
だもの!!家賃は部屋のグレード毎に二千円の違いをつけることで
決定。他の光熱費、インターネットなどは折半の方向で納得。



 同居するにあたっての揉め事が起きやすい、『金』の問題は
こういう具合に解決した。








ふぃn

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